麻しん（はしか）とは、麻しんウイルスを原因とする急性感染症です。

免疫のない人が感染するとほぼ100％発症するため、現在日本では1歳以上の子供を対象にワクチンが定期接種されています。

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免疫のない人が発症すると、10～12日の潜伏期間を経て38℃以上の発熱や強い倦怠感を生じます。

2～4日程度持続したのちに特徴的な発疹が顔や体幹、四肢にかけて生じ２～３日のうちに広がります。

発疹とともに咳や鼻水などの上気道炎や、目やにを伴う結膜炎症状が出現し発熱は40℃を超えることもあります。

その後症状は徐々に改善していきます。

しかしながら、悪化してしまうと肺炎や中耳炎、脳炎等の合併症がみられるため注意が必要です。

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そして、最も注意すべきはその感染経路です。

飛沫・接触による感染だけでなく、「空気感染」するため、細かい病原体粒子が長時間（1時間以上）空気中を浮遊し、露出した粘膜（鼻や目、口など）に付着するため、強い感染力を有します。

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治療は対症療法のみとなるためワクチンによる予防が重要とされております。
1回の接種でも95％以上の免疫獲得率があると言われておりますが、２回接種による免疫獲得率は約99％とされています。

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国内では2015年3月以降、麻しんは排除状態であり近年は渡航先での感染例とその二次感染例のみが報告されています。

しかし、全世界的にワクチンの接種率が低下しており、海外では各地で麻しんが発生していることから、今後は国内への輸入例が増加する可能性があります。

流行国から帰国された際には2週間程度の体調管理をして下さい。

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昨今の報道等で海外からの輸入症例を中心とした麻しんの発生報告が出ていることから当院でも問い合わせが急増しております。

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過去に麻しんにかかったことがなく、ワクチン接種を受けたことのない方は、まずはかかりつけ医にご相談ください。

なお、発症が疑われる際には空気感染のため陰圧個室管理の上での診断が必要となる為、クリニックレベルでの診療が困難な場合があります。事前にお電話にてお問い合わせください。

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【麻しん単独ワクチンおよびMRワクチン（麻しん風しん混合ワクチン）ワクチンの流通について】

2024年3月15日現在、麻しん単独ワクチンおよびMRワクチン（麻しん風しん混合ワクチン）はともに限定的な流通状況となっており、入荷困難となっております。

特に麻しん単独ワクチンはこれまでほとんど使用される場面がなかったため主に流通しているワクチンはMRワクチンのみとなっております。

（＊当院のMRワクチン自費接種参考価格：11000円　税込）

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そのため当院においては、まずは抗体があるかどうかを血液検査にてチェックすることを推奨しております。

（＊当院の自費抗体検査参考価格：3300円　税込）

そのうえで必要と判断、判定された際にはMRワクチンの接種を進めていくことになりますが、限られたワクチン資源の中での接種となりうることをご理解いただきますようお願い申し上げます。

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なお、MRワクチンは「妊娠を希望される女性やそのパートナー」への風しんウイルスに対する予防接種にも用いられており、川崎市においても助成事業が推進されております。

必要なワクチンを必要な方へ接種していくためにも、流通の安定化が最善策ですが、現場としてできることは「必要な方」へ行き届くような配慮をしていくほかないと感じております。

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今後の麻しん流行の推移にも注意は必要ですが、一方で不確かな報道やSNS情報などに不安を煽られないよう注意することも必要です。