舌下免疫療法(アレルギー性鼻炎治療)について


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2025年春は例年以上にスギ花粉症で苦しんだ患者さまが多かった印象を受けました。
私自身もスギ花粉症があり、毎年抗アレルギー薬の内服と点眼薬、点鼻薬などを併用して対策しております。
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今回ご紹介する舌下免疫療法とは、
「鼻汁や鼻閉、目の痒みやくしゃみなどの自覚症状が重い患者さま」や、
「アレルギー検査においてスギ花粉抗原あるいはダニ抗原がCLASS:3以上の反応がある患者さま」、
「鼻炎でお困りの小さいお子様や受験勉強に励んでいるお子様」など、
鼻炎症状により集中力の低下や睡眠障害など日常生活に支障をきたす患者さまへ推奨される治療法の一つです。
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舌下免疫療法とは、アレルゲンを含む薬剤を舌の下に置いて、少しずつ体内に吸収させます。
アレルゲンに慣れさせることで、アレルギー反応を抑制する効果をもたらします。
一方でアレルギー反応が引き起こされるリスクもあるため、認定を受けた医師の管理のもと、
アナフィラキシーショックに十分注意した上で治療にあたる必要があります。
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スギアレルギーの患者さまは、花粉シーズンが終わった6月頃からの治療開始が推奨されます。
ダニアレルギーの患者さまは、決まったシーズンはございませんが、治療前に自宅の清掃などをしてから治療に望まれた方が良いでしょう。
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治療薬は以下の種類があります。
【スギアレルギー】:シダキュア(鳥居薬品) *2025年5月現在初回投与に用いられる薬剤が出荷調整中*
【ダニアレルギー】:ミティキュア(鳥居薬品)・アテシア(塩野義製薬)
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薬剤を1日1回の舌下投与し、月に一度の定期通院を続けていくことで徐々に効果が定着していきます。
1年ほどで効果が実感でき、3〜5年程度の継続により休薬後にも効果が持続すると言われております。
治療効果や持続期間については個人差も大きいため、かかりつけ医との相談で決めていくのが良いでしょう。
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アレルギー性鼻炎の患者さまが減ってくる6月頃は、舌下免疫療法に適したシーズンと言えます。
治療希望の患者さまは是非当院までご相談ください。
ご自身のアレルギー症状の原因が不明な場合には、血液検査にてアレルギー抗原検査(スギ、ダニなど39項目)を行い、アレルゲン(原因物質)を特定することができます。
*2025年5月現在、スギアレルギー舌下免疫療法の新規開始に当たっては各かかりつけ薬局の在庫状況によります。
*他院での舌下免疫療法治療中の患者さまの転医希望も承ります。その際には服薬期間などをお伺いいたしますので、服薬歴などの情報をご準備ください。
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アナフィラキシー症状(薬を服用して30分以内)の前兆症状と思われる体調の変化が生じた場合には、直ちに医療機関を受診してください。