帯状疱疹ワクチンについて

帯状疱疹ワクチンとは

帯状疱疹は、これまでに水ぼうそう(水痘)に罹患したことがある方が発症する病気です。水ぼうそうは、水痘・帯状疱疹ウイルスに感染することで発症するわけですが、水ぶくれなどの皮膚症状が治まっても同ウイルスは体外へ排出されることはなく、神経節に潜伏し続けることになります。その後、過労・ストレスや加齢などによって免疫力が低下するようになると潜伏していたウイルスが活性化し、そのことで神経支配領域(肋間神経、三叉神経 など)に沿って、チクチクした神経痛をはじめ、紅斑や数々の小さな水ぶくれが現れるようになります(主に左右どちらか片側)。皮膚症状については、やがてかさぶた化し、剥がれるようになっていきますが、多くの場合3週間程度で治まるようになります。

ただ、痛みが強く出た、高齢になってから発症したという場合は、皮膚症状が治っても、神経痛がなかなか治まらないということがあります。発症から3ヵ月が経過しても痛みが続くと帯状疱疹後神経痛と診断されます。そのような状態になると、ペインクリニックなど痛みの治療を専門とする医療機関で治療を行う必要があります。

このように日常生活にも支障をきたしそうなケースをできるだけ回避するためにあらかじめ予防対策をするというのが、帯状疱疹ワクチンの接種です。50代を過ぎた頃から発症率が上昇することから、50歳を過ぎた方を接種対象としています。任意接種となりますので、費用は全額自己負担となります。

なお帯状疱疹ワクチンは2種類(ビケン、シングリックス)ありますので、接種を希望される場合、どちらかを選択する必要があります。それぞれの特徴は次の通りです。

・ビケン®

水痘・帯状疱疹ウイルスの病原性を極力まで弱めた(弱毒化した)生ワクチンになります。接種回数は1回です。60歳以上の方が接種すると(帯状疱疹の)発症率が半減するとされ、帯状疱疹後神経痛を発症する確率も帯状疱疹ワクチンを接種しない人と比べると3割程度まで減少するという報告もあります。1回の接種での有効持続期間は8年程度と言われています。接種による副反応としては、注射部位の腫れ、痛みやかゆみといったものがありますが、多くは2~3日で解消されるようになります。なお同ワクチンは、免疫機能に低下がみられる方に使用することはできません。

・シングリックス®

このワクチンは、遺伝子組み換えによって作られた不活化ワクチンになります。計2回の接種が必要で、1回目の接種後、2ヵ月程度間隔を空けてから2回目の接種となります。同ワクチンの接種によって、帯状疱疹の発症率は50歳以上の方で3%程度まで下がるとされ、帯状疱疹後神経痛の発症については、現時点でほぼないとされています。また有効持続期間に関しては、9年間以上は続くと言われています。ビケンと比べると費用は高価となりますが、可能な限り帯状疱疹の発症を予防したい場合にお勧めとなります。

また副反応に関してですが、注射部位に腫れや痛みが強く出やすいということがあります。このほかにも、筋肉痛、疲労感、頭痛といった全身症状もみられるようになります。

ビケン®7,700円(税込み)
シングリックス®1回分が22,000円(税込み)  2回接種で44,000円(税込み)