肺炎球菌ワクチンについて

肺炎球菌ワクチンとは

肺炎は、細菌やウイルスなどの病原体、あるいはアレルギーといったことが原因で肺が炎症を引き起こしている状態を言います。肺炎によって、発熱、咳、痰、息切れといった症状がみられるようになります。なお、原因は様々ですが、成人にみられる肺炎の多くは肺炎球菌の感染による発症です。

この肺炎は、日本人の死因第5位(2017年(平成29年)厚生労働省「人口動態統計」)でもあり、その肺炎でお亡くなりになった方の95%以上が65歳以上の高齢者です。つまり肺炎は免疫力が低下しやすい高齢者、基礎疾患のある方などが発症しやすいと言われています。このようなことから、重症化しやすい高齢者の肺炎を予防するのに有効とされているのが肺炎球菌ワクチンの接種です。

肺炎球菌ワクチンの摂取(定期・任意)

当クリニックでは、肺炎球菌ワクチンの接種を希望する方に2種類のワクチン(ニューモバックスNPプレベナー13)をご用意しておりますので、どちらか接種したいワクチンを選択することができます。

ニューモバックスNP®

ひとつが、高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種でも使用されている肺炎球菌23価ワクチン(ニューモバックスNP)です。肺炎球菌には93種類の血清型があるのですが、そのうち23種類の血清型に対して予防効果を発揮するのがニューモバックスNPです。23種類に対応となっていますが、同ワクチンの接種によって肺炎球菌が原因の肺炎を45%減少させることができたという報告があがっています(65歳以上は39%)。

このようなことから、ニューモバックスNPは1回限りではありますが、各自治体で高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種に用いられ、対象者の方については費用の一部が公費助成となります。同ワクチンを過去に1回でも接種されている方は、高齢者であっても定期接種の対象外となります(任意接種)。また再接種を希望される場合は、前回の接種から5年以上が経過してからにしてください。

川崎市の「高齢者を対象とした定期の肺炎球菌感染症予防接種」は→こちら

(https://www.city.kawasaki.jp/350/page/0000060825.html)

プレベナー13®

もうひとつのワクチンは任意接種となる13価ワクチン(プレベナー13)です。これは、肺炎球菌の中の13種類の血清型に対して予防効果があるとされているもので、同ワクチンの接種によって、肺炎球菌による肺炎の発症が51.8%減少したという報告もあります。ただ日本では高齢者(65歳以上)への効果が立証されていないなどの理由から定期接種としては採用されていません。それでもニューモバックスNPと併用することで、肺炎に対する高い予防効果が期待できるようになります。なおプレベナー13は1回のみの接種となります。副反応に関しては、注射部位に痛みや腫れ、赤みがみられるほか、頭痛や筋肉痛などがみられることもあります。

2つのワクチンを併用する場合ですが、ニューモバックスNPを定期接種及び再接種した方で、その後にプレベナー13を受けたいという場合は、ニューモバックスNPの接種から1年以上経過してからプレベナー13を接種します。プレベナー13を接種してからニューモバックスNPを受けたいという場合は、プレベナー13の接種後6ヵ月~4年以内の間にニューモバックスNPを接種するようにしてください。

*以下図をご参照ください(日本感染症学会/日本呼吸器学会 合同委員会発表)

*PPSV23(ニューモバックス®) PCV13(プレベナー13®)

当院でのワクチン価格は以下の通りです。

13価ワクチン(プレベナー13®)12,000円(税込み)
23価ワクチン(ニューモバックス®)※任意接種の場合 8.000円(税込み)

*定期接種(ニューモバックス®)をされた方はプレベナー13®の接種が推奨されます。